弁護士小賀坂徹です。
昨年9月19日、安倍内閣与党によって安保関連法の採決が強行された。
政府与党は、国会の議席の多数で決めたのだから民主主義にしたがって成立させたというが、果たしてそうだろうか。
そもそも前日の委員会「採決」なるものは、野次と怒号の中、
突然与党議員が委員長を取り囲み、議場が一層騒然とした状態で、
何が起きているのか誰にも分からない中、これも突然委員長が散会を宣言するというもので、
誰がみても「採決」が行われたとはとても言えない代物だった。
(別ウィンドウでYoutubeが開きます。)
しかも安保関連法について、常に過半数の国民が反対し、
政府の説明が不十分だと感じている国民がどの世論調査でも7割、8割を占めている中での強行(凶行)である。
民主主義は少数意見を十分尊重し、議論を尽くし、
最終的な手段として多数決によるのが基本だが、安保関連法に関しては反対意見が多数だったのだ。
それを安保関連法が直接の争点となっていなかった選挙で得た多数を頼りに法案の成立を強行することは、
もはや民主主義と全く無縁のもので、「暴力」だといっても過言でない。
それから8ヶ月後の6月4日(今週の日曜日)、安保法の廃止を求める4万人の市民が国会周辺に集まり集会を行った。
同様の集会は全国100カ所以上で行われたそうだ。
ここに集まった人たちは徹底的に民主主義にこだわった人たちだ。
この4万人余の人たちがすべて同じ考えを持ち、同じ集団に所属しているわけでは決してない。
一人ひとりは様々な考えを持ち、異なる集団に属し、あるいはどのような集団にも属していない人々である。
そういう人たちが、小異を捨てて「安保法廃案」「立憲主義の回復」という一致点で結集しているのだ。
ここに至るまでには、幾多の論争や対立があったはずだ。
もしかしたら様々な政治的思惑もあったかもしれない。
しかし、決して簡単ではない議論によってそれを克服し、一致点で結集(共闘)していることは素晴らしい。
だからこれまでこのような集会で見ることのなかった老若男女が集っている。
これこそが民主主義のお手本だ。
こうした市民が「野党は共闘」と呼び掛けているからこそ重みがあり、現実に政治を変える力になっている。
こうしたことに恐れをなしたからであろうか、日曜日の集会には、右翼の街宣車が10数台連なって集会を妨害しにやってきた。
大音量で軍歌を流し、突撃ラッパをならし、集会参加者に対し聞くに堪えない悪口雑言を浴びせ罵っている。
女性のスピーカーに対しては「うるせえババア」と蔑む。
文字通りの「暴力」である。
明らかに騒音防止条例に反する「爆音」を鳴らして、集会を妨害しているが、
それを取り囲んでいる警察は何ら取り締まろうとしない。
「安保法を廃止せよ」という主張に対して、反対意見があって全然構わないし、むしろそれが健全だ。
相反する主張であれば、そこから議論を始めればいいわけで、
それによって議論が深まっていくのであれば、それこそwinwinの関係になれる。
しかし、それをしないまま力づくの暴力によって意見を封じ込めることでは何も生まれない。
それどころか、自由に意見を表明することそのものができなくなってしまう。
冒頭述べた政府与党のやり方がこうしたこと助長しているというのは言いすぎか。
民主主義を否定する、ないし軽視するという意味においては通底するものがあるように思える。
右翼の街宣車は、参加者の抗議によって、その場を立ち去った(その後も何回も巡回してきた)が、
ひどく気分が悪いものであったことは間違いない。
でも、僕たちはそんな脅しや妨害に絶対に負けない。
負けるもんか。
(上から
しんぶん赤旗 2016.6.6朝刊 『市民と野党が変える』
しんぶん赤旗 2016.6.6朝刊 『戦争法廃止と参院選での野党勝利を訴え、声をあげる人たち=5日、東京都千代田区』
しんぶん赤旗 2016.6.6朝刊 『明日の政治決めるのは私たち』)
弁護士の石畑です。
当事務所が事務局であるマイナンバー(共通番号)違憲訴訟@神奈川の
第1回の裁判期日のご報告です。
日時:6月23 日(木)14時開廷 集合 13 時30 分(40 分から抽選です)
場所:横浜地方裁判所101号法廷
となります。
200名以上の原告がいる裁判ですので,傍聴席を埋めたいと思います。
皆さまお誘い合わせの上,ぜひ傍聴に来てください。
御報告が遅くなりましたが,平成28年3月24日,当事務所の弁護士を中心に,
マイナンバー違憲訴訟@神奈川 を提訴いたしました。
原告201名の全国のマイナンバー違憲訴訟の中でも最大規模の原告団となりました。
今回の訴訟では,マイナンバー制度の違憲性を問うことはもちろん,
現在の社会においてプライバシーとは何か。
これまでの司法の枠組みにとらわれない判断を裁判所に求めていきたいと考えております。
今後とも,当事務所のメンバーを中心に弁護団として取り組んでいく所存です。
(原告の方々のプライバシー保護のため、一部画像のフィルタ加工をしております。)