弁護士 小賀坂徹です。
前回のブログで舛添東京都知事のことに触れたが、
舛添都知事は「せめてリオオリンピックまではやらせてくれ」としていた前日までの態度とうってかわって、
15日に急転直下辞任してしまった。
舛添氏が何の説明もしていないので確かなことは分からないが、
辞任前日までの態度から自発的に辞めたということは考えられず、
自民党が最後の最後に舛添氏を見限ったということで間違いないだろう(何らかの取引があったことは想像に難くないが)。
だが結果として、このことが舛添氏の政治資金等をめぐる疑惑に蓋をすることになってしまった。
都議会与党である自民党、公明党は、共産党などが要求した真相解明のための100条委員会の設置提案を否決し、
それだけでなく20日に行うことが決まっていた総務委員会における集中審議までも取りやめてしまった。
舛添氏側も、辞任会見もせず、本来なら今日開かれるはずの定例会見も一切行わないとしている。
なんじゃ、これは!
このままでは、舛添氏の政治資金に関する疑惑は1㎜も明らかにならないまま幕引きということになりかねない。
こんなことを許しては絶対にならないと思う。
自民党、公明党は、舛添知事を誕生させた張本人であり、
その責任として本来は疑惑解明の先頭に立たなければならなかったはずだ。
しかし、その責任を放棄し、疑惑解明に蓋をしてしまった今回の罪は極めて重い。
本当に重いと思う。
前回のブログで
「自民党、公明党が態度を変えたのは、このまま舛添知事辞任に対して消極的な姿勢を貫くと参議院選挙に響くという理由であり、決して舛添知事の様々な疑惑が理由となっているものではない。」
と書いたが、図らずもそのことが証明されてしまった。
ただ「今度の参議院選挙は、本当に重大な意味を持つ選挙であり、形だけ舛添知事辞任に動いたというような理由で、投票行動が左右されるようなことがあってはならない。」と書いたことについてはそれを訂正したい。
自民党、公明党は、参議院選挙に悪影響を出さないためだけの理由で、
まさにトカゲのしっぽ切りとして舛添氏を切り捨て、そして最も肝心な疑惑解明の道を閉ざしてしまった。
このことは今度の参議院選挙における投票行動に大いに影響されなければならない。
舛添氏の疑惑解明のためにも、また国民を愚弄している自民党、公明党の態度を改めさせるためにも、今度の選挙は大事だ。
必ず投票に行こう!
弁護士 小賀坂徹です。
舛添東京都知事の政治資金等をめぐる疑惑が、連日メディアを賑わしている。
ここにきてもともと舛添知事辞任に消極的だった都議会与党である自民党、公明党も舛添知事を見限って、辞任に追い込む構えのようだ。
しかし、自民党、公明党が態度を変えたのは、このまま舛添知事辞任に対して消極的な姿勢を貫くと参議院選挙に響くという理由であり、
決して舛添知事の様々な疑惑が理由となっているものではない。
今度の参議院選挙は、本当に重大な意味を持つ選挙であり、
形だけ舛添知事辞任に動いたというような理由で、投票行動が左右されるようなことがあってはならない。
今回の参議院選挙の結果、与党及びおおさか維新などの改憲政党が3分の2を占めるようになれば、
安部首相が公言しているとおり、憲法改定に踏み込むことは間違いない。
安部首相あるいは自民党は、今回の選挙公約をみても、
憲法のどこをどう変えるとはいっていない(これもひどい話で、こんなことで万が一3分の2を占めても改憲についての国民の信を得たなどとは絶対にいえないはずだ)が、
最終的に9条を変えようとしていることは明らかだ。
だから与党に3分の2の議席を与えてはならない、このことが最低限のハードルとなる。
しかし、それでは不十分だ。
昨年9月に強行採決された安保関連法は、憲法9条に明確に反する違憲立法であるとともに、
立憲主義つまり憲法そのものを破壊するものであり、速やかに廃止しなければならない。
しかし、安保関連法を廃止するためには、参議院だけでなく衆議院でも廃止を求める野党が過半数の議席を獲得しなければならない。
だから参議院選挙の結果だけで、直ちに安保関連法を廃止させることはできないが、
しかし、この法律を使わせないように追い込むことは可能だ。
安保関連法は、今年の3月29日が施行日となっているから、
政府がその気になりさえすれば、いつでもこの法律を使うことができる。
現在、南スーダンのPKOに自衛隊の部隊が派遣されているが、
この部隊に「駆けつけ警護」等の安保関連法で新設された新たな、そして極めて危険な任務を課すことも可能だった。
しかし、政府与党は安保関連法施行後も、自衛隊にこうした新たな任務を課していない。
表向きは訓練が間に合わないとのことだが、これは明らかに口実で、
今度の参議院選挙前に再び世論を刺激したくないというのが本音だろう。
その意味で、前回のブログでも書いた安保関連法の廃止を求める運動は、
安保関連法の発動をさせない、使わせないという「現実の力」を持っているのだ。
今回の参議院選挙の本質的な争点はここにある。
つまり政府与党に、安保関連法を現実に使わせる「力」を与えるのかどうかということだ。
集団的自衛権の行使、「後方支援」という名の武力行使と一体の兵たん活動、
駆けつけ警護等のPKOの新たな任務等々のような戦争へ荷担する権限を政府与党に与えるのか、
これまで通りそれを使わせないようにするのか、ということである。
参議院選挙で与党が過半数を上回れば、実際に安保関連法を使う力を与えることになるだろう。
それだけは何としても阻止しなければならない。
戦後70年以上続いてきた平和を壊すことを許してはならないからだ。
この意味において、今回の参議院選挙はこの国の未来を決することになる重大な意味をもっている。
主権者である私たちは、このことを本当に真剣に考え抜いて投票をしなければならない。
今回初めて18歳以上に選挙権が与えられるが、そうした若者も含めてとにかくみんなで選挙に行こう。
そこで、この国の未来、そして平和を考えて投票しよう。
今回の参議院選挙を歴史的意義のあるものにしていこう。
弁護士小賀坂徹です。
昨年9月19日、安倍内閣与党によって安保関連法の採決が強行された。
政府与党は、国会の議席の多数で決めたのだから民主主義にしたがって成立させたというが、果たしてそうだろうか。
そもそも前日の委員会「採決」なるものは、野次と怒号の中、
突然与党議員が委員長を取り囲み、議場が一層騒然とした状態で、
何が起きているのか誰にも分からない中、これも突然委員長が散会を宣言するというもので、
誰がみても「採決」が行われたとはとても言えない代物だった。
安保関連法案 参議院特別委員会で”可決” の瞬間
(別ウィンドウでYoutubeが開きます。)
しかも安保関連法について、常に過半数の国民が反対し、
政府の説明が不十分だと感じている国民がどの世論調査でも7割、8割を占めている中での強行(凶行)である。
民主主義は少数意見を十分尊重し、議論を尽くし、
最終的な手段として多数決によるのが基本だが、安保関連法に関しては反対意見が多数だったのだ。
それを安保関連法が直接の争点となっていなかった選挙で得た多数を頼りに法案の成立を強行することは、
もはや民主主義と全く無縁のもので、「暴力」だといっても過言でない。
それから8ヶ月後の6月4日(今週の日曜日)、安保法の廃止を求める4万人の市民が国会周辺に集まり集会を行った。
同様の集会は全国100カ所以上で行われたそうだ。
ここに集まった人たちは徹底的に民主主義にこだわった人たちだ。
この4万人余の人たちがすべて同じ考えを持ち、同じ集団に所属しているわけでは決してない。
一人ひとりは様々な考えを持ち、異なる集団に属し、あるいはどのような集団にも属していない人々である。
そういう人たちが、小異を捨てて「安保法廃案」「立憲主義の回復」という一致点で結集しているのだ。
ここに至るまでには、幾多の論争や対立があったはずだ。
もしかしたら様々な政治的思惑もあったかもしれない。
しかし、決して簡単ではない議論によってそれを克服し、一致点で結集(共闘)していることは素晴らしい。
だからこれまでこのような集会で見ることのなかった老若男女が集っている。
これこそが民主主義のお手本だ。
こうした市民が「野党は共闘」と呼び掛けているからこそ重みがあり、現実に政治を変える力になっている。
こうしたことに恐れをなしたからであろうか、日曜日の集会には、右翼の街宣車が10数台連なって集会を妨害しにやってきた。
大音量で軍歌を流し、突撃ラッパをならし、集会参加者に対し聞くに堪えない悪口雑言を浴びせ罵っている。
女性のスピーカーに対しては「うるせえババア」と蔑む。
文字通りの「暴力」である。
明らかに騒音防止条例に反する「爆音」を鳴らして、集会を妨害しているが、
それを取り囲んでいる警察は何ら取り締まろうとしない。
「安保法を廃止せよ」という主張に対して、反対意見があって全然構わないし、むしろそれが健全だ。
相反する主張であれば、そこから議論を始めればいいわけで、
それによって議論が深まっていくのであれば、それこそwinwinの関係になれる。
しかし、それをしないまま力づくの暴力によって意見を封じ込めることでは何も生まれない。
それどころか、自由に意見を表明することそのものができなくなってしまう。
冒頭述べた政府与党のやり方がこうしたこと助長しているというのは言いすぎか。
民主主義を否定する、ないし軽視するという意味においては通底するものがあるように思える。
右翼の街宣車は、参加者の抗議によって、その場を立ち去った(その後も何回も巡回してきた)が、
ひどく気分が悪いものであったことは間違いない。
でも、僕たちはそんな脅しや妨害に絶対に負けない。
負けるもんか。



(上から
しんぶん赤旗 2016.6.6朝刊 『市民と野党が変える』
しんぶん赤旗 2016.6.6朝刊 『戦争法廃止と参院選での野党勝利を訴え、声をあげる人たち=5日、東京都千代田区』
しんぶん赤旗 2016.6.6朝刊 『明日の政治決めるのは私たち』)