弁護士の岩井知大です。
昨日、霞が関の厚労省で記者会見を行ってきました。
株式会社いなげや・志木柏町店で一般食品のチーフとして勤務していた40代男性職員が、
平成26年6月21日、脳梗塞(血栓性)を直接死因として死亡し、
平成28年6月28日、さいたま労働基準監督署において労災認定されました。
具体的には、発症前1か月ないし6か月の期間で
「1か月当たり平均45時間を超える時間外労働」の存在が認定され、
また集計労働時間には含まれなかったものの、
「発症前2ヶ月ないし6か月における1か月あたりの時間外労働時間数は、
最大値で発症前4か月の75時間53分であり、
1か月あたりおおむね80時間の時間外労働が推認され、
その他聴取等より日・時間が特定できない労働時間があると推定され」る等とされ、労災認定されました。
今回、労基署が過労死基準と言われる月80時間を下回る時間外労働時間しか認定していないにも関わらず、
労災認定をしたことは大きな意義があると考えています。
労基署が、上記のように日時が特定できない労働時間の存在を推定し、認定の根拠として示したことは異例であり、
これは労基署からの労働時間の把握を怠って過重労働を強いる企業に対する強いメッセージであるように思います。
いなげやは、平成15年にも27歳の社員が、過重労働でうつ状態になり、
柳刃包丁で左胸を刺して自殺させるという過労死事件を起こしています。
これで(少なくとも)2度目です。
過重労働を強いる会社の体質は否定できないはずです。
2度と同様の事件を起こすことがないよう、いなげやには労務管理の抜本的な改善を求めていきたいと思います。