皆様、ご無沙汰しております。弁護士の岩井です。
最近、瀬木比呂志元裁判官がお書きになった「絶望の裁判所」を読みました。
この本には、いかに最近の裁判官が上ばかりを気にしていて、
司法はもう頼りに出来ないものであることを延々と具体的につづってあり、
私もまさに絶望しそうになっていたのですが、5月21日、
福井地裁で、そんな司法に光明が差す判決が出ました。
大飯原発の再稼働を差し止めです。ついに出ました。
福島での原発事故を受けて、裁判所はちゃんと原発事故の危険性を十分に認識してくれていました。
この判決に反対する報道には、100%の安全性を原発に求めるのと同じであり、
現実を無視するものだというようなものが見られます(日経新聞の5月23日付社説など)。
しかし、この判決は、原発に100%の安全性が必要となどとは言っていません。
判決は、単に、東北の震災レベルの地震が再度起きた場合、現在の大飯原発の安全体制を見る限り、
福島第一原発事故と同レベルの災害が生じる可能性が極めて高い、
ということは再稼働は認められるはずがない、というものに過ぎません。
現に、福島第一原発事故が生じた以上、少なくとも2011年の震災と同レベルの事態が起こったとしても、
無事乗り越えられるものでない限り、再稼働云々の土俵にすら乗ることが出来ないのは当然のことです。
裁判所は極めて当たり前のことを示しました。
そして、判決は、
「本件原発に係る安全技術及び設備は、万全ではないのではないかという疑いが残るというにとどまらず、
むしろ、確たる根拠のない楽観的な見通しのもとに初めて成り立ちうる脆弱なものであると認めざるを得ない。」
として、関西電力の原発稼働に対する姿勢を厳しく非難しています。
私も福島原発被害者支援かながわ弁護団員として、
横浜地裁にもこのような判決を書いてもらえるよう力を尽くしたいと思います。